ヨガの語源はサンスクリット語の「ユジュ」(意味は「繋ぐ」)。ヨガは体、心、魂を大いなるもの(神、宇宙)に結びつけるための行法として遠い昔にインドで発生したと言われています。
「ヨーガとは、心の働き(作用)を制御することである」
『ヨーガ・スートラ』(2,000年以上前に編纂されたヨーガ経典)の最初に端的に説明されています。ヨーガとは単に身体を動かすだけではなく、その向こうに心の働きの制御(心の安定)という目的があります。
心がどういう状態にあるのか、心が何に繋がっているのかによって、発する言葉・行動・雰囲気は変わっていきます。また心の状態は体にも影響を及ぼします。そして言葉や行動が変われば人間関係にも変化をもたらします。自分の心の在り方ひとつで人生が変わっていくと言っても大げさではありません。
身体と心は呼吸を通して繋がっています。
ヨガは身体、呼吸を心地良い状態に整え、心を平安へと導いてくれます。
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【アーサナで身体を整える】
アーサナ(ポーズ)の練習をすることで普段の生活では使われていない筋肉を動かし、全身の筋力や柔軟性を高めていきます。
動くことで血流・リンパの流れが促進され、同時に呼吸が深まり、巡りの良い身体を育んでいきます。
また呼吸と共に身体の深い部分を感じ、動くことで身体の軸を作っていきます。
結果として、肩こり腰痛の緩和、身体機能の改善、姿勢の変化、心の落ち着きなど様々な変化が表れてきます。
アーサナはご自分の体とのコミュニケーションを深めてくれるツールです。身体の使い方、呼吸と身体の関係と心の繋がりを体感を通して知っていくことで、日常生活でのご自身の心身の調整にも役立っていきます。
【 心の働きを整える】
床でも椅子でもどこでもいいので、安全で静かな場所で軽く背筋を伸ばして目をつむります。そして呼吸に意識を向けて、ご自分の鼻先から息が出たり、入ったりするその息の流れを見守ります。そのまま呼吸に意識を向けて5分くらい続けてみます。
するとどうでしょう? 5分間、いっときも呼吸から意識が離れずにずっと呼吸に集中できたでしょうか?
多分、多くの方が、最初は呼吸に意識が向いているけれど、気がつくと何か違うことを考えていて呼吸の事を忘れていた、という方が多いのではないかなと思います。(もし5分間ずっと呼吸に集中できていた、という方がいらっしゃったらそれはとても素晴らしい事です!)
最初は呼吸に集中できていても、気がつくと今夜の夕飯の事を考えていたり、やらなければならない事がぐるぐる回っていたり、好きな人や嫌いな人の事を考えていたり、、と意識が呼吸から離れてしまっていて、そしてまた改めて「あ! 呼吸、呼吸」と呼吸に意識を戻してもまた気がつくと違うことを考えていた、、、、の繰り返しの方がほとんどかと思われます。
そう、私たちは心をたった5分間、1つの対象にとどめておくことすら難しい事に気がつきます。
私たちは1日に実にたくさん、たーくさんの思考をしていると言われています。でもそのほとんどが、過去の出来事、未来の心配事、願望、妄想、といった頭の中をぐるぐると駆け巡る、制御できていない思考と言われています。
心配事も心配が過ぎれば自律神経の働きや、体調に影響を及ぼしますし、内側で起こっている感情が激しいものであれば、それも身体に影響を及ぼします。もしかしたら自分の事を傷つけるような考えを知らずに持っているかもしれません。願望も我欲が勝れば結果として苦しみを生み出すものとなっていきます。
ヨガでは、アーサナで呼吸が深まりやすい状態に導き、呼吸法で心身を静め、メディテーションを通してご自身の心の働きを観察していきます。呼吸が自然とゆったりと静まれば、自ずと心も静まります。呼吸が浅く早いリズムで繰り返されているうちは、心を静めるのは難しいのです。