YOGAとは

「ヨーガとは、心の働き(作用)を制御することである」

(『ヨーガ・スートラ』より)

 

ヨーガ・スートラはおよそ2,000年以上前に編纂されたヨーガの経典です。

常に頭の中が騒がしく、心が乱れていては私たちは幸せを享受することができません。

まずは心の波を静めること。

 

テクノロジーが発達し便利な世の中になった現在でも、2,000年以上も前の先人たちが残してくれた知恵は色褪せず、

今も私たちの心に寄り添ってくれます。

 

本来は瞑想を主としていましたが、時代の移り変わりとともにアーサナ(坐法)、プラーナヤーマ(調気法、呼吸法)などの技法が確立されていき、現代ではエクササイズとしても親しまれています。

 

身体、心、気(呼吸、エネルギー)の側面から自分を観て、感じて、アプローチし、全体として整え内面の幸せを育んでいく。

 

そんな道のりをYOGAは指し示してくれています。

 

※心の働きの"心"とはざっくり言うと、心にまつわる機能、心の働きを起こす根源といったことを表します。

アーサナを通して身体を知っていく

呼吸を大切にしながら身体全体を動かしていくことで、身体の隅々まで意識を届け、感じ、身体とコミュニケーションをとっていきます。

身体は自分の思い通りにはなってくれないし、身体は身体の摂理で働いています。そういう意味では身体は一番身近な他者でもあると言えます。

私たちは普段、どのくらい他者である身体に意識を向け、身体からのシグナルを感じ取っているでしょうか?

思考優位になり、身体からのシグナルに気づかず、あるいは無視することで身体の不調や環境との不調和を生み出すことも多々あります。

 

身体、呼吸、心はお互いに影響しあいます。どれか一つの変化は他の二つにも影響を及ぼします。

動きを通して、呼吸と身体、心の繋がり、また身体全体の繋がりを知り、自分自身を整える術を身につけていきます。

 

心の働きを知る 

床でも椅子でもどこでもいいので、安全で静かな場所で軽く背筋を伸ばして目をつむります。そして呼吸に意識を向けて、ご自分の鼻先から息が出たり、入ったりするその息の流れを見守ります。そのまま呼吸に意識を向けて5分くらい続けてみます。
するとどうでしょう? 5分間、いっときも呼吸から意識が離れずにずっと呼吸に集中できたでしょうか?

 

多分、多くの方が、最初は呼吸に意識が向いているけれど、気がつくと何か違うことを考えていて呼吸の事を忘れていた、という方が多いのではないかなと思います。(もし5分間ずっと呼吸に集中できていた、という方がいらっしゃったらそれはとても素晴らしい事です!)

 

最初は呼吸に集中できていても、気がつくと過去の出来事や、やらなければならない事が頭の中をぐるぐる回っていたり、好きな人や嫌いな人の事を考えていたり、、と意識が呼吸から離れ、そしてまた改めて「あ! 呼吸、呼吸」と呼吸に意識を戻してもまた気がつくと違うことを考えていた、、、、の繰り返しの方がほとんどかと思われます。

 

そう、私たちは心をたった5分間、1つの対象にとどめておくことすら難しい事に気がつきます。

 

私たちは1日に実にたくさん、たーくさんの思考をしていると言われています。でもそのほとんどが、過去の出来事、未来の心配事、願望、妄想、といった頭の中をぐるぐると駆け巡る、制御できていない思考と言われています。

 心配事も心配が過ぎれば自律神経の働きや、体調に影響を及ぼしますし、内側で起こっている感情が激しいものであれば、それも身体に影響を及ぼします。もしかしたら自分の事を傷つけるような考えを知らずに持っているかもしれません。願望も我欲が勝れば結果として苦しみを生み出すものとなっていきます。

 

ヨガでは、アーサナで呼吸が深まりやすい状態に導き、呼吸法で心身を静め、メディテーションを通してご自身の心の働きを観察していきます。呼吸が自然とゆったりと静まれば、自ずと心も静まります。呼吸が浅く早いリズムで繰り返されているうちは、心を静めるのは難しいのです。